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ボランティアをはじめるあなたへ 準備はOK? 現場で気をつけるポイントは?

掲載日:2021.08.25

ボランティアに応募して、いざ出発――。でもちょっと待って。現地で活動するための心構えや準備は十分でしょうか。今回はボランティアの相談事業などに取り組む、東京ボランティア・市民活動センター(Tokyo Voluntary Action Center = TVAC)副所長の高山和久さんから、初心者向けに準備のポイントや、現地で気をつけるべきことなどを聞きました。

相手の「大丈夫」は本音?
丁寧に見極めることが大切

初めてボランティアに参加するときは、たとえ「初心者の方も歓迎」と言われても、「足手まといにならないか」「知らない場所で不安」などと心配してしまうのは当然のことです。高山さんは、ボランティアの現場でよくある誤解や、感情のすれ違いについて次のように話します。

「障害者や高齢者の方をサポートするボランティアの現場で起きがちなのが、“親切心からついついおせっかいになってしまう”ことです。目の前にいる方たちは自分と同じ立場の人だという意識を持つことが重要。必要以上に手を出されると“子ども扱い”されているように感じ、せっかくの気持ちを好意的に受け取ってもらえないことがあります」

災害ボランティアでも注意すべきことがあります。被災地などの現場では、被災した方が初めて出会うボランティアの人たちに、必ずしもすぐに心を開くとは限りません。たとえ大丈夫ではなくても、つい「大丈夫」と言ってしまう方が多いのも事実です。

「例えば、目の前で人が転んだとき、『大丈夫ですか?』と声をかけると、その人は足が痛くても、いったんは『大丈夫』と言ってしまうことが多いでしょう。被災した人たちも同じです。ただ、それはボランティア参加者が見知らぬ人で、本音で話せていないからだと思います。あたりさわりのない日常会話などで徐々に打ち解けながら、『本当に大丈夫なのか』『実は困っているのではないのか』ということを見極める必要があり、この辺りは丁寧なコミュニケーションが求められるところです」

コミュニケーションが苦手でも大丈夫。
自分に合ったアプローチを

相手が求めていることをつかむコツについて、高山さんは「雑談力」が大事だとアドバイスします。

「例えば、被災した人であれば、『大変でしたね』『怖かったですよね』という声掛けが良いと思います。相手に共感しながら会話を進めると『そうなのよ、すごい雨で……』などと話が展開し、困りごとについて話してくれる人も出てきます」

しかし、コミュニケーションが大事だからといって、苦手な人がボランティアに向かないわけではありません。

「コミュニケーションが苦手でも、問題ありません。周りの人たちのやりとりを横で見ているだけでも学びや刺激となると思います。ボランティアの基本は“自分ができることをする”ということです。以前TVACで、家庭内暴力に遭った女性たちの就業支援として、パソコン講習会を開いたことがありました。その際は、技術を教える講師だけでなく、講習が始まる前にパソコンの初期設定をしたり、インターネットにつなげたりする人たちもボランティアでした。人と直接関わらず、裏方として貢献できるボランティアもたくさんあるので、こうしたボランティアから始めてみるのもおすすめです」

ボランティアをはじめるなら「情報収集」から

情報収集は、ボランティアの準備において欠かせないステップです。特に災害ボランティアの場合、「被災地について事前の情報収集は必ずしてほしい」と高山さんは話します。

「被災地では状況によって必要な物も服装も変わってきます。泥かきをするにしても、スコップを現地で準備してある場合もあれば、無いから持って来て欲しいという場合もあります。服装も頑丈な靴が必要という場所もあれば、交流会の手伝いなどで、『普段の服装で来てください』というところもあります。こうした情報はたいてい地区の災害ボランティアセンターのサイトに載っているので、チェックするようにしましょう。被災地の状況はガラッと変わることもあるので、行く直前に確認することが重要です。また、災害ボランティアセンターは様々な対応に追われていることが多いので、できれば電話ではなく、インターネットで確認するようにしたいですね」

東日本大震災でボランティア活動をする人たち=TVAC提供
東日本大震災でボランティア活動をする人たち=TVAC提供

では、障害者や高齢者の方をサポートするボランティアや、語学ボランティアではどのような準備が必要なのでしょうか。

「ボランティアでは、相手の状況について事前に少し知っておくと、会話が広がることもあるでしょう。語学ボランティアは、外国人の生活に役に立つことなどを調べておくと良い場面もあると思います。ただ、これらは“知っておくと役立つかも”というレベルなので、気軽に飛び込んでいいと思います。最初は失敗したっていいんです。楽しもうというくらいの軽い気持ちで参加するほうが長く続くと思います」

安心して活動するために
「ボランティア保険」に加入を

ボランティアは自発的な行動であり、事故が起きた際は基本的に参加者の責任となります。最近では現場でのケガなどに備えて「ボランティア保険」に加入する人が増えてきました。

ボランティア保険とは、活動中にけがをした場合や、損害賠償責任を問われるトラブルが生じた際に、これらを補償するものです。補償内容によって料金は変わりますが、手頃なプランであれば数百円程度から加入することができます。

「被災地では、ボランティアの人に危険な作業をさせないように注意していますが、がれきなどが山積みになっていたり、泥で足元が見えなかったりするような現場となると、なかには残念ながらけがをしてしまう人もいます。そのようなことから、保険の加入が前提になっている現場も多いので、お住まいの地域の社会福祉協議会で事前に加入しておくといいでしょう」

東日本大震災でボランティア活動をする人たち=TVAC提供
東日本大震災でボランティア活動をする人たち=TVAC提供

構えず、気負わず、気軽に参加してほしい

高山さんは、野球が好きだった大学生時代、知的障害を持つ子どもたちと野球をする機会があり、それがきっかけでボランティアをはじめたそうです。「動機は何でもいいと思います。集合時間を守るなど、最低限のマナーさえ守れればOK。あまり構えず、気負わず、自分の好きなこと、得意なところからボランティアをしてみてください」

ボランティア初心者の相談や情報収集にも、東京ボランティア・市民活動センターが活用できる

東京ボランティア・市民活動センター

市民一人ひとりのより良い生き方(well-being)を実現するために「広義の福祉」の視点にもとづき、幅広い領域のボランティア活動を推進し支援している。「ボランティア・市民活動に関心がある」「ボランティア活動に参加したい」「ボランティア活動について調べてみたい」「もっと団体の活動を発展させたい」と思う個人・団体に対して、相談や情報提供、人材育成、資金的な支援など、様々な事業を行っている。

住所:〒162-0823
   東京都新宿区神楽河岸1-1 セントラルプラザ10階

電話:03-3235-1171(代表)

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市民一人ひとりのより良い生き方(well-being)を実現するために「広義の福祉」の視点にもとづき、幅広い領域のボランティア活動を推進し支援している。「ボランティア・市民活動に関心がある」「ボランティア活動に参加したい」「ボランティア活動について調べてみたい」「もっと団体の活動を発展させたい」と思う個人・団体に対して、相談や情報提供、人材育成、資金的な支援など、様々な事業を行っている。

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MESSAGE 東京ボランティア・市民活動センター副所長 高山 和久さん 障害がある人も、被災者も、特別な人ではありません。ボランティアは自然な会話ができれば十分です。“寄り添う気持ち”だけを準備して、あとは無理なく、楽しみながら一歩を踏み出しましょう。MESSAGE 東京ボランティア・市民活動センター副所長 高山 和久さん 障害がある人も、被災者も、特別な人ではありません。ボランティアは自然な会話ができれば十分です。“寄り添う気持ち”だけを準備して、あとは無理なく、楽しみながら一歩を踏み出しましょう。