ボランティア関連ニュース(外部記事)

  • 文化・芸術

麻生の狂言 27年の歴史に幕 ボランティアが手作り 「寂しいが潮時」

2025.02.11
 能楽師狂言方大蔵流の故・山本則俊(のりとし)さんを応援する市民グループ「ハゲマス会」主催の「第24回狂言の会」が9日、川崎市麻生区の麻生文化センターで開かれ、27年の歴史に幕を閉じた。

 最後の公演には、則俊さんの兄で人間国宝の山本東次郎さん(87)ら山本家一門が出演し、会員ら約15人が運営を担った。会長の宮川秀世さん(88)=東京都町田市=は病気療養中のため欠席し、冒頭に「お客さまの楽しむ様子が励みとなり、今日まで続けて来られた。山本家も素人扱いせず、珍しい曲や大曲を届けてくれた」とのメッセージが代読された。

 上演されたのは、「靭猿(うつぼざる)」「伊呂波(いろは)」「土筆(どひつ)」「金津(かなづ)」の4演目。江戸幕府の式楽(儀式に用いる音楽や舞踊)の伝統を守る剛直・堅固な芸で客席を魅了した。その後に東次郎さんが登壇し、各演目を解説。「いろんな狂言を見ていただけるありがたい会だった」と感謝した。

 ハゲマス会は、則俊さんがひいきにしていた町田市の天ぷら屋「天辰」(現在は閉店)の常連客らが結成し、1998年に「狂言の会」を始めた。則俊さんが2023年11月に死去し、会員の高齢化もあって解散を決めた。

 天辰の元店主で実行委員の阿部進(しん)さん(76)=相模原市中央区=は「終わるのは寂しいけれど潮時。ボランティアが手作りで積み上げてきた山本家とのつながりを、公的な機関に引き継いでもらえれば」と話している。(佐藤圭)