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トラック屋さんが子ども食堂 思い走らせ2年 千葉・松戸

2025.01.11
 トラック販売のカクタ(千葉県松戸市)が子ども食堂を始めてまもなく2周年を迎える。地域の中小企業が子ども食堂を運営する例は、全国でも珍しい。人知れず始めた取り組みだが、地域の子どもたちが集まる場になりつつある。
 昨年12月下旬のお昼時、「キッチンカクタ」は家族連れで混み合っていた。近所の藤原凪翔(なぎと)ちゃん(5)は、カレーに唐揚げ、アメリカンドッグなどをたいらげると、無料で配っている風船を笑顔で受け取り帰っていった。
 メニューは子どもの好物ばかりを集めたワンプレート1種類のみ。子ども(18歳以下)は100円、大人は500円で食べられる。2023年1月の第1回から、開催時期がお盆と重なる8月を除く毎月第3土曜日に、計22回開催してきた。
 きっかけは、コロナ禍で角田耕二社長(63)の知人が営む子ども食堂が閉鎖されたことだった。「コロナで切れたコミュニティーを作り直したい」と一念発起。社員食堂を大通り沿いに建て替えて、子ども食堂の運営に乗り出した。
 運営費用の足しにするため、昨年3月からは社員食堂の一般開放を始めた。火~土曜日に、3種類の日替わり定食を1食1千円で提供する。イタリアン、和食、中華とそれぞれ得意分野の異なる3人の料理人が献立を考え、飽きがこないよう工夫しているという。
 NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」によると、子ども食堂の数は右肩上がりで、千葉は全国で10番目となる334カ所(前年比14・8%増)まで増えたという。ただ、運営主体はボランティア団体やNPO法人が大半で、企業主体は全体の2・2%とまだまだ少ない。
 むすびえの調査によると、子ども食堂で最も多い困りごとは資金繰りで、近年は食材費や水道光熱費の高騰が直撃している。カクタのような企業は本業のもうけで赤字を穴埋めできるため、安定して運営できるのが強みだ。市内の子ども食堂運営者でつくる「まつど子ども食堂の会」代表の高橋亮さんは、カクタの参入を歓迎。必要な設備が整っている介護系事業者など、さらなる企業の参入に期待する一方で「大事なのは子どもたちのためにという『思い』。現場の従業員が業務として『やらされている』となってはいけない」としている。
 次回の子ども食堂は今月18日午前11時~午後2時半、場所は松戸市大橋327。角田社長は「地域の人から『何をやっているかわからない』と思われるのがトラック屋。地域の人に愛される企業になるため、少しでも長く続けていきたい」と話している。(若井琢水)