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川崎市民と紡いだ「ばら苑物語」 生田緑地ボランティア会が記念誌 850品種の写真とデータ紹介

2024.10.17
 川崎市多摩区の生田緑地ばら苑(えん)で活動するボランティア団体が、苑の65年以上にわたる歩みをつづった記念誌を発行した。苑は今、市が老朽化などを理由に再整備の方針を打ち出すなど転換期にさしかかっている。メンバーは「新しいばら苑を考える材料にしてほしい」と話している。(佐藤圭)

 記念誌「ばら苑物語」(A4判96ページ)をまとめたのは「生田緑地ばら苑ボランティア会」。多摩区に住む会長の小松愛さん(42)と宮前区の森沢万里子さん(79)の2人が企画編集を担当し、700部作製した。製作費用はクラウドファンディング(CF)などで集めた。

 前身のばら苑は1958年、小田急電鉄が向ケ丘遊園内にオープンした。記念誌には、遊園時代の写真やパンフレットが豊富に掲載されている。

 2002年に遊園が閉園した後、市が管理運営を引き継ぎ、生田緑地ばら苑として再スタートした。ボランティアには目標の100人を大きく上回る681人が応募。しかし、遊園時代から働く臨時職員らとの関係がうまくいかず、300人以上が辞めていったという。これを受けて最初のボランティア団体が発足し、市側に作業内容の改善を要望。日本ばら会の協力を得て、講習会などを実現させた。小松さんは「先輩ボランティアのおかげで今がある」と強調する。

 苑内で鑑賞できる約850品種のバラの写真とデータの紹介に半分を割いた。森沢さんは「データの確認に苦労したが、記念誌が出来上がり、わが子の晴れ舞台を見るようで胸が熱くなった」と喜ぶ。

 現在のボランティア会は17年に結成され、会員は9月末時点で約170人。週2、3回、除草や剪定(せんてい)などの手入れを担っている。

 苑を巡っては、レストハウスなどの施設が老朽化。隣接する市有地が、19年の台風19号で浸水被害を受けた市民ミュージアム(中原区)の移転候補地に選ばれ、苑との一体的な整備も検討されている。

 小松さんは「苑が大きく変わろうとしているからこそ、過去と現在の姿を広く知ってもらいたい」と力を込める。

 今秋の一般公開は、生田緑地などで開催される全国都市緑化かわさきフェア(10月19日~11月17日)に合わせて実施。期間中の10月23、26日、11月2、12日の4日間、記念誌を各日先着75人にプレゼントする。10月26日午後2~3時には、姫野ばら園八ケ岳農場(長野県)の姫野由紀代表とのトークショーもある。