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いの町で移住体験ツアー、東京や大阪の4家族が参加 空き家紹介も

2024.12.16
 高知県いの町神谷(こうのたに)地区のボランティアグループ神谷七色会が移住体験ツアーを初めて開催した。移住の促進と空き家対策を兼ねた企画で、東京や大阪などの4家族9人が参加した。
 神谷地区は「仁淀ブルー」で知られる清流、仁淀川の左岸に広がる。高知市中心部から車で約30分。人口1千人ほどで、人口が減る中、ここ数年、私立小学校「とさ自由学校」の開学などで児童生徒が増え、移住先としても注目されている。
 神谷七色会は2017年に住民有志が結成し、移住希望者と空き家のマッチングを支援する活動などに取り組んでいる。
 ツアーは11月29、30両日にあった。参加者は、移住の候補となる空き家を見て回った。仁淀川の清流が見える高台にある駐車場付きの売り家は500万円ほど。通りに面した家賃2万円台の貸家もあった。参加者は、屋内に入って間取りなどをチェックしていた。
 見学した町立神谷小中学校(児童生徒47人)では、田中茂樹校長が、小学生の授業に中学教諭が関わるなど小中一貫校の利点を生かした教育をしていると説明し、「優しい子どもに育つ環境。縁があれば来て下さい」と呼びかけた。同校はここ3年で数人ずつ児童生徒が増加しているという。
 先輩移住者の話も聞いた。ヨガインストラクターの高木礼衣(あやえ)さん(44)は、4年前に夫を東京に残して子ども3人と移住した。「びっくりしたのは、近所の人が家族のように話しかけてくれること。子育てしやすい環境で、来られて良かった」と話した。
 一方で「湿気が多く、住居のカビ対策は必要」「移動はほとんど車。公共交通は数分おきに電車が来る都市部とは違う」と苦労や不便があることも強調した。
 妻子と計4人で愛媛県内から参加した男性(61)は「子どもをこんな自然の中でのびのびと育てたい。フレンドリーな地域なのは分かったので、まずは家族で住むのに適した家が見つかるかどうか」と話していた。
 ツアーは、県が参加者の宿泊や貸し切りバス代を負担するなどの支援をして実現した。県の担当者は「移住促進と空き家対策を兼ねるツアーは自治体の連携では先例があるが、神谷のように地域のボランティア団体が主導した例は聞かない」という。
 同会によると、空き家の管理のためには、だれかに住んでもらう方がいい。ただ、移住希望者の条件にかなう空き家が常にあるわけではないという。
 伊藤正秀副会長(68)は「ツアーで参加者と住民の深い交流ができた。今後も行政の支援を受けながら取り組んでいきたい」と語った。(亀岡龍太)